ピーククラウン・ピーク冠(保険適用の奥歯の白い歯)
- Seiki Mikasaki
- 2024年2月11日
- 読了時間: 5分
今回は新しく昨年12月から奥歯の保険適用となった白い被せ物ピーククラウン(ピーク冠)について説明します。
適用される奥歯の部位
第一大臼歯および第二大臼歯(親知らず以外の一番奥の歯とその手前の歯): これらは奥歯で最も咀嚼力がかかる部位であり、ピーククラウンはこれらの歯に対して十分な強度と耐久性を提供します。これまでは第二大臼歯は保険で白い歯はできませんでした。
第三大臼歯(親知らず): 親知らずの位置や状態によっては、ピーククラウンの使用が適切な場合があります。特に、親知らずが正常に機能している場合や、抜歯を避けたい場合に選択されることがあります。これまでは保険で白い歯は適用できませんでした。
色は従来の保険のCAD/CAMクラウンや自費のジルコニアクラウンのように白さや色合いの種類を選ぶことはできません。ややのっぺりした色合いの一種類のみとなります。


ピーククラウンの導入によって、従来のCAD/CAMクラウンで対応が難しかった奥歯の部位にも適用が可能になりました。具体的には、以下のような場合にピーククラウンが選択されるようになりました。
奥歯の治療におけるピーククラウン(ピーク冠)の適用
大きな欠損がある場合: 奥歯は咀嚼時に非常に大きな力がかかるため、大きな欠損があるとその修復が難しくなります。ピーククラウンは高い耐力と耐久性を持っているため、大きな欠損を有する奥歯にも適用が可能です。
根管治療後の歯: 根管治療を受けた歯は、しばしばその構造が弱くなっています。ピーククラウンはその強度と耐久性により、根管治療後の歯に対しても十分な保護を提供し、歯の寿命を延ばすことが期待できます。
過剰な歯の摩耗や破損がある場合: 歯の摩耗や破損は、特に奥歯で見られがちです。ピーククラウンは自然歯と同様の咬合力に耐えうるため、これらの問題を有する奥歯の修復に効果が期待できます。ただし従来の金属クラウンやジルコニアクラウンに比べるとやや劣ります。
従来の材料に対するアレルギーがある場合: 金属アレルギーなど、従来のクラウン材料に対するアレルギーがある患者さんにとって、ピークは非金属であるため安全な選択肢です。これにより、アレルギーのリスクを回避しつつ奥歯の治療を受けることが可能になります。
審美性を求める場合: 奥歯であっても、特に開口時に見える位置にある場合、審美性は重要な考慮事項です。ピーククラウンは金属に比べると比較的自然な歯の色と質感を模倣できるため、見た目にも自然な仕上がりを提供します。ただし従来のCAD/CAMクラウンやジルコニアクラウンに比べるとやや劣ります。
硬さの比較
硬さは、材料が変形するのに抵抗する能力を示す指標です。硬さは通常、ビッカース硬さ(HV)やロックウェル硬さ(HRC)などの尺度で測定されます。
金銀パラジウム(FMC): 金銀パラジウム合金は、優れた機械的強度と耐腐食性を持ち、硬さはビッカース硬さで約160-230 HVの範囲になります。
CAD/CAMクラウン
プラスチックブロックで作られるCAD/CAMクラウン(保険適用):一般的なプラスチックや複合レジン材料のビッカース硬さは約10-40 HV程度です。これらの材料は比較的柔らかく、自然な歯に近い感触を提供することができますが、耐摩耗性や耐久性は硬い材料に比べて低い傾向にあります。自費のジルコニアはセラミック材料の中でも特に硬く、そのビッカース硬さは約1200-1500 HVの範囲にあります。ジルコニアは非常に硬いため、耐摩耗性に優れています。
ピーククラウン: ピーク(ポリエーテルエーテルケトン)のビッカース硬さは約30 HVです。ピークは比較的柔らかい材料であり、金属やセラミックに比べると低い硬さを持ちますが、これにより自然歯に近い咬合力を再現できるという利点があります。
割れにくさ(靭性)の比較
割れにくさ、または靭性は、材料が衝撃や応力によって発生した亀裂が広がるのをどれだけ抵抗できるかを示します。靭性は通常、MPa・m^0.5(メガパスカル・ルートメートル)で表されます。
金銀パラジウム(FMC): 金属合金は一般に高い靭性を持ち、金銀パラジウムも例外ではありません。具体的な数値は、合金の成分比によって変わりますが、金属合金は通常、高い靭性を持っています。
CAD/CAMクラウン
プラスチックブロックで作られるCAD/CAMクラウン(保険適用): これらのクラウンに使用されるプラスチックや複合レジンの靭性は、一般には金属やセラミックよりも低いですが、約1-5 MPa・m^0.5程度になることがあります。具体的な値は使用されるレジンの種類や製品により異なります。保険適用でなく自費のジルコニアの靭性は5-10 MPa・m^0.5程度で、セラミック材料としては非常に高い靭性を示します。これにより、ジルコニアは割れにくく、耐久性の高いクラウン材料となります。
ピーククラウン: ピークの靭性は、ピークの靭性は、一般に約3-5 MPa・m^0.5程度と推定されますが、これは製品のグレードによって異なる場合があります。
噛む機能としては金属>ジルコニア>ピーククラウン>プラスチックの順に優れています。
美しさはジルコニア>プラスチック>ピーククラウン>金属の順に優れています。
ピーククラウンは柔軟性があり、自然な歯に近い感触を持ちますが、硬さは最も低く、靭性に関しては高い柔軟性を持つことで補っています。ピーククラウンは自然な歯の色に近いため、審美性を損なうことなく奥歯の治療が可能です。また、軽量でアレルギーのリスクが低いため、健康にも良い影響を期待できます。適用できるかは歯科医師の診断が必要となります。お気軽にご相談ください。
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