飲酒は歯に悪い?
- Seiki Mikasaki
- 2023年4月16日
- 読了時間: 4分
コロナ感染症も5類に引き下げられ、マスクも必須ではなくなりました。お酒を飲む機会もそれに合わせて増えてきますね。患者さんではお花見に数年ぶりに参加とされたという方もいらっしゃいました。楽しいイベントも増えてきますが、同時にお酒の摂りすぎによるリスクも気を付けたいですね。
今回はお酒と歯周病について触れます。
歯周病は、歯茎、歯の周りの骨、および歯の周囲の他の支持組織に影響を与える慢性炎症疾患です。 軽度の歯茎の歯肉炎から、歯を支えている骨や組織の重度の歯侵襲の歯周病まで、症状はさまざまです。アルコール摂取は歯周病のリスクを高める可能性があり、治療せずに放置すると歯の喪失につながる可能性があります.
アルコールと歯周病:相関関係
過度のアルコール摂取は、肝臓の損傷、高血圧、がんのリスクの増加など、さまざまな健康上の問題につながる可能性があります。歯や歯肉の健康にも影響を与える可能性があります。飲酒量が多いと歯周病のリスクが高まります。
アルコールは飲みすぎるとかえって脱水を引き起こすことがあり、唾液の減少につながる可能性があります。 唾液は、口内の細菌によって生成される歯や歯茎を溶かす酸を中和し、歯と歯茎を保護する役割を果たします. 唾液の分泌量が減少すると、有害な細菌が増殖し、歯周病や虫歯の発症につながります.
飲酒による歯周病の治療
アルコール摂取による歯周病の治療は1 日 3 回のブラッシングとその指導、少なくとも 1 日 1 回のデンタルフロスなど、口腔衛生習慣を改善することです。また何度か歯科医院に通って頂き、検査と歯石除去とクリーニングを受けることも不可欠です。
歯周病が重度の場合、さらに治療が必要になります。 これは、歯石とP.G菌などの炎症を引き起こすバイオフィルムと呼ばれる細菌の塊を歯肉の中から除去するスケーリングとルートプレーニングと言う方法です。より重度なケースでは、歯茎、骨、およびその他の支持組織の損傷を修復するために手術が必要になる場合があります。
これらの治療に加えて、アルコール消費量を減らしたり、なくしたりすることも、歯茎や支持組織へのさらなる損傷を防ぐのに役立ちます. 健康的な食事を維持し、定期的に運動することも、全体的な健康状態を改善し、歯周病のリスクを軽減するのに役立ちます。歯周病は放置すると炎症によって出てくる毒性物質や歯周病菌が歯肉の血管から全身に入り動脈硬化などの血管系の疾患(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞)のリスクが1.8倍ほど高まります。また糖尿病、低体重児出産、誤嚥性肺炎なども関係しています。
また厚生労働省によると、男性については1日当たり純アルコール10~19gで、 女性では1日当たり9gまでで最も死亡率が低く、1日当たりアルコール量が増加す るに従い死亡率が上昇し、通常のアルコール代謝能を有する日本人においては「節度ある適度な 飲酒」として、1日平均純アルコールで約20g程度であるとされています。ただし 女性は男性よりも少ない量が推奨され、 少量の飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い方は通常の 代謝能を有する人よりも少ない量がよく、 65歳以上の高齢者においては、より少量の飲酒が推奨されます。アルコール依存症者においては適切な支援のもとに完全断酒が必要、 飲酒習慣のない人に対してはこの量の飲酒を推奨するものではなく、 「節度ある適度な飲酒」としては、1日平均純アルコールで約20g程度であるとされています。
主な酒類の換算の目安
お酒の種類
ビール (中瓶 1 本 500ml)アルコール度数 5% 純アルコール量20g
清酒 (1 合 180ml)15% 純アルコール量22g
ウイスキー・ブランデー (ダブル60ml)43% 純アルコール量20g
焼酎(35 度) (1 合 180ml)35% 純アルコール量50g
ワイン (1 杯 120ml) 12% 純アルコール量 12g
アルコール摂取は歯周病のリスクを高めることが示されており、治療せずに放置すると歯の喪失や全身の健康の低下につながる可能性があります. しかし、歯ブラシや口腔清掃道具の適切な使用、歯科検診、およびアルコール消費量の削減により、アルコール消費による歯周病を予防および治療することができます. 歯と歯茎の健康が気になる場合は、お気軽にご相談ください。
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